1. HOME
  2. ブログ
  3. 和食と日本酒のプロが考える料理とお酒にまつわるホントの話

和食と日本酒のプロが考える料理とお酒にまつわるホントの話


料亭二蝶で開催されているお酒と和食のイベント「酔舞の会」。
2018年は料亭二蝶が西野金陵さんとコラボすることが決定しました!
日本酒が好きな方々にもっと楽しんでいただき、今以上にお酒のことを好きになっていただきたいという思いから、西野金陵でお酒を製造している杜氏の酒井史朗さんをお招きし、いつも以上に「お酒の楽しみ方」についてお話が聞ける機会を設けつつ、特別なお酒とそれに合った料理でおもてなしをさせていただく会となる予定になっています。

今回は、酔舞の会の開催にあたって、8月8日に西野金陵の製造課長、酒井史朗さんをお招きして、料亭二蝶の主人、山本とお酒のことについていろいろとお話をしましたので、そのようすを一部紹介させていただきます。

西野金陵の杜氏さんと料亭二蝶の主人の座談会

西野金陵の杜氏酒井さん
西野金陵株式会社 製造課長 酒井史朗さん
西野金陵株式会社は、県内では西野金陵、または金陵と呼ばれ、親しまれている地酒の蔵元さんです。酒井さんは西野金陵で長年酒造りに携わり、現在は杜氏として、西野金陵さんの酒造り全般に携わっています。
酒造りの工程をはじめ、お酒が出来上がるまでのさまざまなことに対して深い知識を持っている方で、酔舞の会当日は一緒にお酒を飲みながら、お酒の楽しみ方、上手な付き合い方など、さまざまなことを教えてくださいます。
料亭二蝶の主人山本さん
料亭二蝶 主人 山本亘
料亭二蝶の主人として、厨房の仕切りからメニューの考案まで、料亭に関するさまざまなことを取り仕切っています。
酔舞の会当日も主人として厨房を仕切りつつ、合間を見てお座敷に顔を出してお酒と和食のこと、メニューのチョイス、お酒のチョイスなど、料亭の目線からお酒の楽しみ方についてお話をさせていただきます。

清酒金陵と二蝶が日本酒と和食のコラボに向けた座談会を開催

日本酒の個性を和食がウマく生かす

【山本】今回は酔舞の会の件でお話をいただきありがとうございました。
【酒井】こちらこそ、お受けいただいてありがとうございます。
【山本】酔舞の会もおかげさまで10年以上続けることができていて、毎回多くの方からご好評いただいているんですよ。
【酒井】確か初めて開催した時は金陵以外にもふたつの酒蔵さんとご一緒させていただいたんですよね。

●ワンポイント
酔舞の会の始まり
酔舞の会には10年以上もの歴史があるのですが、そもそも始めたきっかけは、讃岐のお米「さぬきよいまい」を使ったお酒を作ろうということで、西野金陵さんを含めた3つの酒蔵で作った日本酒に対し、二蝶がそれぞれに合わせた和食を提供するというスタイルで始まりました。だから、名前の起源は「さぬきよいまい」というお米で、毎回浴びるほど飲んで酔って舞って楽しい雰囲気になるというわけではありません。もちろん、お酒に合った料理でおもてなしし、楽しんでいただくということを目的にしていますので、存分に酔って舞っていただいて問題ありません。

【山本】そうですね。他のふたつに比べて金陵さんのお酒はすごくクセが強いお酒で、衝撃的だったのを覚えています(笑)
【酒井】本当に、当時は酔舞の会の後もけっこう言われちゃいましたからね。
【山本】ただ、料理に合わせると不思議と他の2社とは違った良さがあって、食べながら飲むという意味では個性があってよかったと思っています。
お酒だけで味わうと口の中で暴れるような感覚だったのに、料理に合わせるとうまく噛み合って、お酒も料理もどんどん入っていく感覚でしたね。
【酒井】確か他のお酒は大吟醸とかで作られてたんですよね。金陵は確か精米歩合70%とかだったんです。
しかも、ちょうどあの時ちょっとお酒造りでチャレンジしていることがありまして。というのが、「ワインって単独で楽しむよりも料理と合わせて飲んだ方が楽しめてたくさん飲めるでしょ。日本酒もこれからは酸味がないとダメだよ」って話を聞いて、ちょっと酸味を効かせた方が料理には合わせやすいのかなっていうことを考えながら作ったこともあって、本来日本酒ではあまり好まれない酸味が入ったお酒を作っていたので、馴染みがあまりない味という意味も含めてけっこう個性が強かった気がしますね。

●ワンポイント
五味と日本酒の味
五味というのは味覚の根源となる5つの味のことで、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5つ。中でも日本酒は甘味と旨味が強いものが多いのが特徴です。

【山本】確かその日本酒を冷蔵庫で保存しておいて、2年後に開けたんですよね。そしたら酸味が落ち着いてびっくりするくらい美味しくなってて。
【酒井】そうですよ。あれは本当においしかった。まさかあそこで登場するとは思ってなくて、でも、みんなが酔っ払って出来上がっちゃった後に開けるんだもん。最初の方で開けてくれないと、あんなにおいしかったのにみんな覚えてないですよ(笑)
【山本】私もお酒が入ってきて、これも飲んじゃえって、勢いで開けちゃったところがあるから仕方ないですね(笑)
【酒井】日本酒に酸味を入れるってのは間違いじゃなくて、でも酸っぱいって感じさせちゃうとお酢みたいになっちゃうからこれはダメなんですよね。だから、酸味を上げるんだったら同時に甘味も上げてあげないとダメなんですよ。そうすると落ち着いた味になるので、飲みやすくて料理に合いやすいお酒ができるんです。
五味のうち、甘味と酸味と旨味がお酒で味わえるから、辛いものとか苦いものとかに合わせると両方の味が引き立て合うような感じになるんですよね。
【山本】お酒だけ飲み続けるんだったら酸味はむしろない方が良いんでしょうけどね。和食は山や海の素材を味わっていただく料理が多いので、酸味がもともと含まれているものってそんなにありません。だから、料理に合わせた時、程よい酸味が含まれている日本酒はすごく相性が良いと思いますね。

●和食と日本酒の楽しみ方
お酒と料理の個性を合わせるのも日本酒の楽しみ
日本酒と和食の相性が良いのは、甘味、旨味の強い日本酒と、漬物、海の幸や醤油を使った料理など、酸味や塩味、苦味のある料理が比較的多いというのが理由のひとつと言えます。
個性の強いお酒を食べ物なしでずっと飲み続けるのは難しいですが、その個性に合わせた料理と一緒に楽しむことでお互いが味を補完し合い、お酒も料理もおいしく楽しく進めることができます。

日本酒の尖った個性が時間と共に丸くなる

【酒井】そういえば先ほど2年間寝かせておいたお酒を開けたという話がありましたが、あれはどういった状態で保管してあったんですか?
【山本】二蝶の冷蔵庫の中なので、5度に保たれた日の当たらない場所にずっと置いてありましたね。
【酒井】最高の環境ですね。日の当たらない場所でも、温度が高いと品質が変化してしまうので、5度以下に保たれた空間というのは最高の保存場所だと思います。
日本酒は特に、味が変わりやすいお酒です。例えば、夏前にできたお酒を秋に飲むと味が落ち着いてまろやかになっていたりとか。だから、販売するお酒にも飲み頃になるまで保存しておくものもあるくらいです。
あの個性が強かったお酒が2年経ってすごく飲みやすいお酒になるってのも日本酒の魅力かもしれませんね。
【山本】西野金陵さんでも2年ぐらい寝かしておいたお酒を販売してみるってのはどうですか?
【酒井】それは在庫になっちゃうのでダメですね。なんで売れ残ってるんだ!って怒られちゃいます(笑)
【山本】なるほど(笑)確かに蔵元だとそうなりますよね。ということは保存しておいて味の変化を楽しむのは個人の楽しみってことになりますね。
【酒井】そうですね。日本酒の中でも個性の強いお酒を置いておくと特に角が丸くなって美味しいお酒になるのでおすすめですね。
逆にあんまり尖ってないお酒だと保存すればするほど良さが消えちゃったりすることもあるので、これも日本酒の種類によって向き不向きがあるんですよね。
しかも、開けてみないと味が分からないってのがまた面白さでもあり、怖さでもありますね。

●和食と日本酒の楽しみ方
日本酒の保存方法
日本酒は時間とともに味が変化するお酒です。栓を開けると飲みきってしまわなければなりませんが、未開封の状態であれば年単位で保存しておいても飲むことが可能です。
保存方法は「日の当たらない場所で5度〜6度の温度を保っておくこと。つまり、冷蔵庫の中がベストと言えます。
個性が強すぎると感じるお酒でも、長期間保存しておくと熟成が進んでいき、尖っていた部分が柔らかくなり、飲みやすいお酒に変化することが多いです。

43度のお酒は魅力をすべてさらけ出す

【山本】熟成させるだけじゃなく、温めてもお酒の表情って大きく変わりますよね。
【酒井】そうですね。お酒は冷やすと味や風味が分かりにくくなるので、キンキンに冷やしたお酒ってのは日本酒が持つ本来の味を楽しむのではなく、お酒の冷たさを楽しむものだと思います。逆に温めると旨味とか風味が上がってきてまったく違った表情を見せてくれますね。
【山本】私の中で日本酒のスイートスポットは43度というのがあるんですよね。大吟醸とか良いお酒は燗するとおいしくないって言いますけど、いろんな表情を持っているのにそれを包み隠して本来持っている魅力を見せないまま飲まれてしまう冷酒の方がよっぽど味を楽しめていないのではないかと私は思いますね。
【酒井】温まるという意味では50度とか、高い温度で楽しむのもひとつですけど、お酒の味や風味を本当に楽しむのであれば、40〜45度っていうのはとても良い温度だと思います。
【山本】あんまり熱すぎるとアルコールが薄まってしまいますからね。せっかくおいしい日本酒なんだから一番おいしい状態で楽しんでもらいたい。アルコールが抜けちゃうのは僕の中ではナシなので、温め過ぎはよくないとして、その範囲内で味や風味が一番楽しめるところって考えていろいろ研究したんですけど、私は43度の日本酒が一番いろんな表情を楽しめると感じました。
【酒井】そうですね。同じお酒でもまったく違った表情になるので、いろんな楽しみ方ができるっていう意味でおもしろいですよね。
それこそ二蝶さんだったら同じお酒を温度を変えて出しながら、和食のメニューをそれに合わせていけば、ひとつのお酒だけでおもてなしができたりするんじゃないですか?
【山本】確かに面白そうですね。料理をすべて食べた後でお客さんに全部同じお日本酒だったんですよって言ったら驚かれると思います。
同じ料理にまったく同じお酒を温度を変えて飲んでいただいても料理とお酒の味や表情、相性など、すべてが違ってくると思います。

●和食と日本酒の楽しみ方
日本酒は温度で味が大きく変わる
日本酒は温度によってまったく異なる表情を見せます。冷たいと味や風味は弱まり、大人しい印象のお酒になります。常温、ぬる燗、熱燗・・・温度を上げていくと味と香りが引き立つようになります。
ただし、あまり暑くし過ぎるとアルコールが薄まってしまいます。
また、温度を上げると甘味も旨味も増してくるのですが、アルコールも際立ってくる分一般的には辛口な印象を受けると言われています。
味や風味など、日本酒の良さを味わうなら、40度〜45度までのぬる燗がおすすめです。

辛口のお酒の正体は何?

【山本】そういえばよく日本酒で辛口のやつがほしいって言われるんですけど、あれって料理人からするととっても難しい質問なんですよね。
もし、料理を食べながらお酒を辛いと感じるのであれば、料理とお酒の相性が合っていなくて、日本酒の角が立っているということなんですよね。そういう相性の悪いお酒を和食に合わせても、ずっと飲み続けることは普通はできません。その分パンチがあって日本酒を飲んでいるという感覚があるので、そういう感覚を味わいたいということなのかもしれませんが。
【酒井】確かに。飲み口で辛口、甘口というのはあって、甘味が抑えられるとアルコールを感じるようになるので辛いと感じる、いわゆる辛口というイメージの味にはなるのかなと思います。ただ、日本酒には塩味があるわけではないので、辛味という味自体は存在しないんですよね。
【山本】お酒の味って合わせる料理によっても違うので、例えば今食べている和食では甘く感じたものが、次の料理に合わせると辛く感じたりすることもあります。
だから、料理との合わせ方によってもお酒を辛く感じるかっていうのも変わってくるので難しいですよね。
【酒井】辛口のお酒と言ってもキレやコク、風味などの違いで全く飲んだ印象が変わってきます。上品で爽やかな飲み口がまるで水を飲んでいるような味わいの大吟醸と、クセが強くて飲んだ後に思わず“かぁ〜”って言っちゃうような純米酒を、どっちも「辛口です」と言われても実はまったく別の飲み物ってくらい違いがあるので、辛口だけじゃ情報が少な過ぎて悩んじゃうことはあります。
例えば、わさびも生姜もタバスコも全部まとめて辛口の調味料なのでご自由にどうぞとは言わないですよね。この料理にはこの風味のものが合うというのを考えてチョイスするのと考え方は似ているかもしれません。
お酒にも相性の良い食べ物があって、何に合わせてどう飲むかによってご提案したいものも変わってくるんです。だから、そういう時はいろいろお話をうかがいながらこれかな?と思うお酒を試し飲みしていただいて、ご納得いただけるものをお買い上げいただいています。
ただ、先ほど言われたように一緒に合わせる料理によってまったく印象が変わるので、お酒は試し飲みしたものと同じなんだけど、家に帰って飲んでみるとなんだか味が違う気がする。ということはあるかもしれませんね。
【山本】料亭のお客様だと、料理の味でお酒の味もコントロールできるので、最初から辛口のお酒に合う料理というご依頼であれば、それに合わせて作ることは可能なんです。
ただ、それをすると今度は相性が良くなっちゃうので、当然「辛口のお酒じゃないじゃん」と言われてしまいます。つまり、料理に合っていないお酒を出さないとダメ?となってしまうんですよ。
和食と相性の悪いお酒をお出ししてしまうとたくさん飲めなくなってしまう方が多いので、二蝶としてはどちらもおいしく食べたり飲んだりしていただきたいと思っているんですよね。
【酒井】料理と日本酒が合っているかどうかでお客さんの飲みっぷりが変わってくるってことですよね。
【山本】そうですね。だから、極端な話、料理人はお酒をあんまり飲ませたくなければそれなりの対応もできちゃうってことですね。
【酒井】お酒を飲ませたくない時なんてあるんですか?
【山本】飲み放題とか?
【酒井】(笑)
【山本】そんなことやっちゃうとお客さん来なくなっちゃいますけどね。
でもやっぱり料理とお酒を長く楽しみたいのであれば、料理と日本酒の相性が良いものを合わせた方が良いと私は思います。
だから、辛口が好きと言っている方は一度辛口じゃないお酒も飲みながら料理を食べてみると良いと思います。
日本酒だけ飲むのであれば日本酒を飲んでいる感覚が強いお酒もありかもしれませんが、料理とお酒を楽しむのであれば、辛口だけにこだわる必要はない気がします。
それなら例えばそのお酒の特徴を聞いて、どんな料理に合わせると美味しくいただけるのかを教えてもらった方がより和食も日本酒も楽しめるのではないかと。

●和食と日本酒の楽しみ方
辛口のお酒は飲み続けることができない?
辛口の日本酒というのは、甘味が少なくアルコールを感じるお酒というのが一般的な印象です。
ただし、料理とうまく合わせれば相性の良いお酒として「辛さ」をあまり感じることなく飲むことも可能です。
料理に対して辛さが際立っているということなので、日本酒を飲んでいるという感覚が強く残り、その感覚が好きという方ももちろんいらっしゃいます。
ただ、決してお酒と料理のバランスがとれた状態ではないということも覚えておきましょう。

お酒を楽しむって結局どういうこと?

【酒井】まぁでもいろいろ言ってきましたが、お酒を楽しむって人それぞれだと思うんで、結局最後は自分が気に入った味や飲み方がすべてですよね。
【山本】そうですね。おいしく飲んで楽しい時間を過ごすっていうのがお酒の一番の魅力ですから、好きな飲み方を我慢して、無理に飲み方を変えたりするのはちょっと違う気がします。
【酒井】ただ、いろいろやってみないと分からないからといって試しにお酒を変えてみたり温度を変えてみたりといろいろやりだすとやればやるほどいろんな顔がみられるから、お酒から抜けられなくなっちゃいます。
【山本】そうそう。そこに加えて料理は何を合わせたら良いかとか、いろいろありますね。
【酒井】お酒を楽しむんじゃなくてお酒の楽しみ方を考えるのが楽しいみたいな感じですね。
昔、飲む、打つ、買うなんて言葉がありましたけど、言葉自体はあんまり良い表現ではないですが、お酒の場合、それだけ奥が深くて魅力的だという意味も含まれてる気がしますね。のめり込み過ぎて溺れちゃうとダメですけど。
【山本】確かに。そういった意味ではお酒と女性は似ているのかもしれませんね。いろんな表情があって、アプローチの仕方で表情も変わってくるし、相性の良い料理と合わせるとその良さをしっかり引き出してくれる。あと、のめり込むと溺れちゃうところとかも(笑)

●和食と日本酒の楽しみ方
好きな飲み方で楽しむ
お酒は本来、楽しんで飲むものであり、その楽しみ方は人それぞれであると西野金陵の杜氏、酒井さんも言っています。
合わせる料理や飲む温度ひとつでその印象も大きく変化するので、ひとつのお酒でも飲み方や合わせる料理を変えることでまったく違った味を楽しむことができるでしょう。
そういったことを含めて楽しむも良し、深いことは考えず、飲んで話して楽しく盛り上がることに重点を置くもよし、楽しみ方は自由です
お酒があることで今、会話を、料理を、雰囲気を楽しむことができることが最も優先することなのかもしれません。

酔舞の会でお酒の楽しみ方を知る

【酒井】今回の酔舞の会は、どういった流れにするご予定なんですか?
【山本】西野金陵さんからご提案いただいた3つの日本酒に合うお料理をまず3品ずつご用意しようかなと思っています。
今、和食の方向性って塩とか醤油とかみりんといった調味料をあまり使わずに、素材そのものの組み合わせでその良さを引き出していく流れになってきているんですよ。
【酒井】どういうことですか?醤油や塩を使わない方がおいしいってことですか?
【山本】例えば野菜で作ったソースをベースとなる料理にかけたり、何かと何かを組み合わせることによって生まれる味を楽しんだりですね。その方がおいしいというよりも、いろいろな味を楽しめるということです。だから、醤油や塩ももちろん使うことで深みを出したり味に変化をつけたい場合にきっかけづくりの手段として使うことはありますが、塩や醤油を味の決め手とすることは最近はほとんどありません。だから、昔に比べて使う量も機会も随分減ってきましたね。
【酒井】和食なのになんだかフランス料理みたいですね。
【山本】そういった意味では和食っぽくないものも登場する可能性が高いですね。で、酒井さんに皆さんにおいしいお酒の飲み方や楽しみ方をいろいろとレクチャーしていただきながら楽しんでいただくと。
【酒井】なるほど。それ冒頭の30分とかでちゃんとやっておかないと後半にやるともうみんな忘れちゃいますよね。
【山本】間違いないですね(笑)
ただ、お酒好きの方がいらっしゃって、美味しい料理とそれに合ったお酒を飲まれるので、やっぱり普段家で晩酌する時ももっとお酒を飲むことが楽しくなるようなひと工夫があるなら知りたいんじゃないかなと。
せっかく酔舞の会に酒井さんが来てくださいますし、お酒の杜氏さんと一緒に飲める機会なんてそうそうないわけですから、何か印象に残るものを持って帰っていただければなと思いますね。
【酒井】山本さんもこれから準備ですか?
【山本】はい。今日から2日間はお酒を飲みながらイメージを固めていって、そこから料理を作って、合わせての繰り返しです。8月末ぐらいにはある程度カタチにしておかないと間に合わないので、しばらく眠れない日々が続きますね(笑)
【酒井】どんな和食で合わせてくるか楽しみですね。
【山本】期待していてください。

酔舞の会で登場するお酒をご紹介します

2018年の酔舞の会では、3種類の日本酒をベースに和食と日本酒を楽しんでいただける他、果実酒なども登場します。
登場予定のお酒は「ひやおろし」「秘蔵古酒」「あきげしき」の3種類。2018年のひやおろしをいち早く楽しんでいただいたり、金陵秘蔵の特別なお酒を味わっていただいたり、市場には出回っていない特別なお酒を堪能していただいたり。
酒、食、会話のすべてを楽しめる会になっておりますので、日本酒好きの方も、これから日本酒のことを知っていきたい方も、料理とお酒のことをもっと知りたいという方も、存分に楽しんでいただける内容になっています。ぜひご参加ください。

ひやおろし(純米原酒生詰)

アルコール度数 18度以上19度未満
原料米 オオセト
精米歩合 70%
タイプ 醇酒

口に含んだ時、穏やかで落ち着いた味と芳醇な香りが広がるお酒です。
ひやおろしというのは業界で統一した呼び名の日本酒で、冬に作ったお酒を貯蔵庫で夏の間寝かせておき、程よく熟成された状態の秋に出荷されるお酒です。
フレッシュな味わいの生酒に比べ、ひやおろしはまろやかで芳醇な味わいになるのが特徴です。
秋の味覚に合わせやすく、食と酒を楽しむのに特におすすめのお酒です。

大吟醸 秘蔵古酒

 

 

アルコール度数 17度以上18度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)・醸造アルコール
原料米 山田錦
精米歩合 35%
タイプ 薫酒

兵庫県産の山田錦を100%使用した大吟醸酒を、貯蔵庫にて熟成させた西野金陵秘蔵の古酒です。
ほんのりと琥珀色をしたお酒は繊細さの中に複雑さを兼ね備え、口の中でふわっと広がる香りが絶妙に絡み合う、味わい深いお酒です。
まずはそのまま味わって、料理に合わせてもう一度と、さまざまな表情を楽しんでいただけます。

あきげしき 無濾過 純米吟醸生原酒

※市場に出回っていないお酒のため、画像はありません

アルコール度数 17度以上18度未満
原材料名 米(国産)・米こうじ(国産米)
原料米 あきげしき
精米歩合 58%
タイプ 薫酒

金陵の八幡蔵がある香川県多度津町葛原の原産である「あきげしき」を使ったこだわりの地酒です。
この地域は古来から湧水が多く、高品質な一等米が作られる豊かな農業地帯です。
その上質なあきげしきを使って仕上げられた日本酒は、甘くてフルーティーな味と香りが広がる飲みやすい日本酒です。
市場にはなかなか出回らない特別なお酒を、今回酔舞の会にて味わっていただけます。

ゆず酒

アルコール分 8%
エキス分 26.6%
原材料 ゆず(国産)、糖類、醸造アルコール
タイプ 果実酒(リキュール類)

国産のゆず果汁を惜しみなく使用した、爽やかなお酒です。
果汁45%という高濃度のゆず果汁が、グラスに注いだ時に瑞々しい香りを漂わせ、口をつける前から爽やかな気分にしてくれます。
そのままロックやストレートで味わっていただいても飲みやすい他、ソーダなどで割って飲んでも大変飲みやすいお酒になっています。
 


 

おまけエピソード。お酒買い占め事件

【酒井】そういえば山本さんが金陵のお酒を買い占めたというウワサを聞いたんですけど。
【山本】しずく酒のお話ですね。もともと西野金陵の社長様から、1本お酒をいただいたんですよ。で、それと知らずに冷蔵庫に入れておいたら、うちのスタッフが「いつもと違うお酒が入ってるんですけどこれ何ですか?」と言ってきたので見てみると、しずく酒が入っていたんです。
それで、その時少し飲んでみたらびっくりですよ。めちゃくちゃおいしかったんです。
【酒井】普通はモロミに圧をかけてお酒をしぼるんですけど、しずく酒は低温発酵のモロミを酒袋に入れて吊るし、自然にしたたるお酒を集めて作ってるんです。
だから、数はたくさんできないんですけど、すごくまろやかで味わい深いお酒になっていると思います。
【山本】それでね。西野金陵さんの通販サイトで注文して、お客さんにもお出ししたんですよ。
そうしたら皆さんこれはおいしいって言われていて、本当に大人気でした。次に来た時に「まだあのお酒ある?」って聞かれる方もいらっしゃるくらい大好評で。
【酒井】ひとつのお酒をそこまで気に入っていただけるってとても嬉しいですね。
【山本】これ、どこで買えるの?って聞かれたりもしたんですけどね、通販サイトで私がたくさん注文しちゃったもんだから。
【酒井】売り切れちゃったんですね(笑)
【山本】二蝶限定のお酒になってしまいました。
私が飲む分も考えて買ったはずなのに、大人気で、気がついたら私の分がなくなってしまっていて、本当にみなさんに喜んでいただけたみたいでよかったです。
【酒井】次は事前に仕入れの方で本数をおうかがいしますね。
【山本】すみません。よろしくお願いします。

●ワンポイント
しずく酒のネット通販をお楽しみに
しずく酒は時期の関係で酔舞の会には登場しませんが、今後も引き続き製作される予定だそうです。気になる方は西野金陵さんのウェブサイトをご確認ください。
西野金陵のウェブサイト

関連記事