二蝶のおせち料理は40品目以上の料理が楽しめる♪
お正月になんでおせち料理を食べるか知っていますか?
日本の伝統行事にはさまざまな「意味」がを含んだものがあり、中には「ダジャレじゃん」と思うようなものも存在するのですが、そういったものもであっても「長寿」や「豊作」、「健康」といったさまざまな願いや想いが込められ、縁起の良いものを集めてお祝いする風習があります。
お盆やお正月、お祭りや節句、結婚前に執り行われる結納など、例を挙げていけば枚挙に遑がありませんが、おせち料理も平たく言うとその一環ということになります。
おせち料理の起源
おせち料理も元は中国から伝わった五節供の行事に由来するとされていますが、当初は節句に作られる料理のことを示していたようです。
そして、節句の最も重要とされるお正月の料理が主に「おせち」と呼ばれるようになり、定着していったとされています。
その後も時代と共にカタチこそ変わっていますが、お正月をお祝いする伝統的な料理として、日本国内でさまざまな歴史を紡いで今に至っています。
日本は現存する国家としては世界で最も長い歴史を持つ国ですから、そこに残っている歴史や文化も大切に育まれてきているということかもしれません。
おせち料理のお重
さて、おせちといえば重箱に入っているのが正式なカタチですが、ここにも実は意味があるようです。
おせちに入っている料理の数々には、意味こそ違えどさまざまな角度から「幸せ」を願うものがありますよね。
つまり、幸せを「重ねる」という意味で、ここでもゲンを担いでいるということになります。
ところで、現在の主流は二段や三段ですが、実は正式なものは四段とされているって知っていましたか?
お重に詰めるおせち料理の種類
・一の重 祝い肴、口取り
・二の重 焼き物
・三の重 酢の物
・与の重 煮物
※四の数字は死を連想させることから縁起が悪いとされ、お重には四ではなく与が用いられています
ただ、正式なものではありますが、二蝶で作るおせち料理は完全に正式なカタチを取り入れているわけではありません。例えば3段目がすべて酢の物だったらそれはそれで驚きますよね。
料亭が作るおせち料理ということもありますので、大切にされている伝統をしっかりと踏襲しつつ、二蝶らしくアレンジしたものが料亭二蝶のおせち料理ということになります。
しっかり詰まった二蝶のおせち!
一段のおせちで40品目以上、四段のおせちで50品目以上の料理がぎっしりと詰め込まれています。
どれも一つひとつ丁寧に仕込み、様々な味が楽しめます。
おせち料理の定番メニュー
さて、40種類のお品書きの中には、伝統的におせちに入っているものもあれば、二蝶のおせちにしか入っていないのでは?と思うものもあります。
日本に伝わるおせち料理の意味とも照らし合わせながらそれぞれの意味を簡単に紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
黒豆
おせち料理によく入っているものの代表格といえば黒豆。黒には昔から邪気を払い、災いを防ぐという意味があり、おせち料理の黒豆にもその意味が含まれています。
その上で「黒く日焼けするくらいまめまめしく働けるように」という意味もあるようです。これは、日焼けは農作業を連想させますので、勤勉に働くということではなく健康であることへの願いが強いように感じます。
田作り
おせちには必ず登場するのが田作り。煮干しだと思っている方もいるかもしれませんが、カタクチイワシの稚魚を干して飴炊きにしたものです。もともとはカタクチイワシを農作物の肥料として使った田畑が豊作になったことにちなんでいて、五穀豊穣を願う品目となっています。地域によっては「ごまめ」とも呼ぶようですが、香川県内では田作りという呼び方が主流です。
数の子
数の子はニシンの卵で、その数が多いことから子孫繁栄を願うものです。さらに、ニシンという言葉が妊娠と似ていることや、二身にかけてひとつの体からもう一つの命が生まれるという意味も込めて子宝に恵まれるようにという願掛けになっています。他にも、ニシンは二親、つまり両親を連想させることから父と母の長寿を願うという説もあり、ニシンと数の子の両面に意味が込められています。
昆布巻き
昆布巻きは「喜ぶ」という言葉にかけられたり、子生を当て字として入れ、子孫繁栄を願うものとされたりします。二蝶のおせちはただの昆布巻きではなく子持ち鮎の昆布巻きですので、子宝への願いも二重に入っています。他にも、巻物に似た形であることから、学問を連想させ、知識が深まるようにという願いも含まれているようです。
だし巻き
二蝶のおせちに入っているメニューを見て、まず不思議に思うのはきっとだし巻きではないでしょうか?
おせちのたまご料理といえばだて巻き。名前はけっこう似ているのに、その姿は全然違う。それが、だて巻きとだし巻き。
だて巻きは、巻物に似ていることから、食べると頭が良くなると言われています。ちなみに、だて巻き以外にも昆布巻きや砧巻きのように巻かれているものが多く含まれています。
だて巻き
ふわっとした食感のだて巻きは主におせち料理の時にしか見かけない卵の巻き物。伊達=オシャレや目立つといった意味があることから、派手な巻きたまごを意味しているとか、着物の帯の「伊達巻き」に由来しているとか、いろんな説があるようです。
だし巻き
だし巻きはふだんおせち料理に入ることはあまりありません。でも、巻き物であることに変わりはありません。だて巻きのような派手さやオシャレさはありませんので、華やかな見た目で楽しませるというよりは、メインの料理に彩りを添える脇役のような位置付けかもしれません。
二蝶のおせちはなんでだし巻きなの?
見た目がオシャレで存在感のあるだて巻きとそうでないだし巻きで、どうしてだし巻きを入れる選択をしたのか。それは、味がおいしいからです。
だし巻きを食べれば料亭のレベルがある程度分かるというくらい、簡単そうで難しい料理のひとつであり、料亭二蝶が自信を持って提供するメニューのひとつ。
ただのオシャレな飾りじゃない。中身がちゃんと詰まっていておいしい。そう、文字通り「伊達じゃない」ってやつです。
勉学に励み、知識を増やす「巻き物」になぞらえているのであれば、やっぱり中身がちゃんとあって内容や実力が伴っている方がいいですよね。
実は簡単にだし巻きをおせちには入れられません
おせち料理にだし巻きではなくだて巻きを入れるもうひとつの理由として保存期間があります。
というのも、だし巻きはだて巻きに比べて保存期間が短いんです。
真空パックで保存しておくならまだしも、お重に詰めてそのままお届けするおせち料理にだし巻きを入れるとなるとかなり大変です。
おせちを実際に作り始めるのは一般家庭で28日ぐらいからと言われていますが、何百、何千と作る業者さんがそんなギリギリで夜を徹して作っているとは想像しにくいですよね。
だから、一般的なおせち料理にはこれからもだし巻きが入ることはおそらくないと思います。
二蝶の年末はおせちとの戦いなんです
ちなみに料亭二蝶がおせち料理の制作にかかるのは最終営業日が終わった後。
「何百、何千と作る業者さんがそんなギリギリで夜を徹して作っているとは想像しにくいですよね」と言った舌の根が乾かないうちに「二蝶はそれ、やってます」と言っちゃうあたりが疑わしいと思われるかもしれませんが本当なんです。
年末の数日間、ただひたすらおせち料理と向き合う日々が続きます。
従業員が交代制でおせちを作り続け、出来上がった頃にはもうおせちを見るの・・・ではなく食べる時間になっています。
だから、当たり前ですが、作り置きもしていなければ保存料も入っていません。
そんな感じで戦いながらも1つひとつ丁寧に心を込めて作るおせちですから、だし巻きひとつ取っても本当にこだわりが詰まっているんです。
おまけ:本当にあったおせちの話(怖くありません)
料亭二蝶の主人、山本が年初に体験した、おせちにまつわる嘘のようで本当のお話です。
それは年末におせち料理を大量に作り、滞りなく新年を迎えたとある年のお正月休みのお話です。
毎年実家に顔を出しているのですが、年末におせち戦争があるため年明け早々に実家に顔を出すことはできません。
つくったおせちは実家に届いていますが、山本が顔を出すのは少し遅れてからになるので、既におせち料理は親戚に振る舞われています。
山本が実家に顔を出すと、
「あんたのぶんもちゃんと取ってあるからな」
とお母さん。そして、目の前に登場したのは・・・
おせちのお重から引っこ抜かれた一段だけ。
おせちのお重から引っこ抜かれた一段だけ。
思わず2回書いてしまった。
冒頭で説明した通り、おせち料理はお重ごとに入っている料理が異なります。
その中の一段だけを引っこ抜いて出されたということは、つまり親戚はその段を食べていない。
そして、山本はその段しか食べていないということです(笑)
ともすれば「煮物だけ」という緊急事態もあり得た衝撃的な出来事。
みなさんはこんなことにならないように、おせちを取っておく場合はいろんな段からいろんなメニューを取り置きしておいてあげてくださいね。